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会社は、労働保険関係を成立させることによって「雇用保険」と「労災保険」に加入します。労働保険とは「雇用保険」と「労災保険」の総称です。
雇用保険の加入義務
雇用保険は、法人・個人事業を問わずに一部の例外を除いて、労働者を雇用する会社には加入義務があります。雇用保険に加入する際に、会社が必ずやらなければいけない手続きを適用事業所の設置といいます。
雇用保険の新規加入、手続きの流れ
事業所の設置をすることによって、個々の労働者の雇用保険加入手続きを行うことができるようになります。適用事業所設置届には、様々な書類の添付が必要になりますので、ハローワークに行って用紙を整えましょう。
ハローワークでの適用事業所設置届の提出を行う前に、労働基準監督署において「労働保険関係成立届」の提出が必要です。建設業など一部の業種を除き、必ず労働基準監督署→ハローワークの順番で行きましょう。
1.ハローワークへ行く
雇用保険加入のための書類を、会社の所在地を管轄するハローワークでもらいます。「適用係」が通常は窓口となります。(ハローワークの前に、労働基準監督署で保険関係成立届を提出する必要があります)
雇用保険に新規に加入したい旨を告げると「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険資格取得届」などを受け取れるはずです。以下のことには注意が必要です。
雇用保険に加入する人数を、事前に確認しておく
資格取得届に記載できる人数は1枚に1名です。あらかじめ何部必要なのか、確認してから行ってください。また、書き損じ等を見込んで、多めにもらっておきましょう。
適用事業所設置届に添付する書類を確認する
労災保険加入の際とは異なり、雇用保険加入の場合は、多くの添付書類が必要になります。これは、実態のない会社を雇用保険に加入させての不正受給を防ぐ意味合いがあると思われます。
2.必要書類を揃える
雇用保険の適用事業所設置手続きに必要な主な書類。(下記以外にも書類提出を求められる場合がありますので、必ず管轄のハローワークで確認してください。)
提出する書類
雇用保険適用事業所設置届
会社の名称や所在地など、概要について記載
労働保険関係成立届の控え
事前に労働基準監督署に提出した書類の控え
被保険者資格取得届
従業員ごとの資格取得時に必要となります
雇用保険被保険者証
雇用保険に加入する人が以前勤めていた会社で雇用保険に加入していた場合に交付されています。ない場合は履歴書の写しを添付。
法人登記簿謄本
交付後3カ月以内の原本を提出。個人事業の場合は事業主の住民票。
建物登記簿謄本または賃貸借契約書
建物が自社所有の場合は、法務局で「建物登記簿謄本」を取得。賃貸の場合は「賃貸借契約書」になります。
開業届、営業許可証等
事業内容や事業開始時期がわかるものを添付
出勤簿またはタイムカード
雇用保険への加入者の分を添付する。原則として勤務の最初の日から雇用保険に加入となります。
労働者名簿
労働基準法上で作成が義務付けられています。
賃金台帳
給与支払実績がある場合に持参します。
雇入通知書、雇用契約書
パートタイマーなど、短時間労働者や有期雇用の人について、どちらかを提出することになります。所定労働時間や、雇用見込みなどが確認されます。
3.書類作成時の留意点
雇用保険適用事業所設置届
会社の名称、所在地、電話番号等について記入します。押印箇所が用紙表側と裏側にありますので注意しましょう。
保険者資格取得届
従業員1人につき1枚必要です。OCRの部分は鉛筆で記入します。事業所番号はこれから符番されるため未記入で構いませんが、被保険者番号は前職の雇用保険被保険者証などで確認できる場合には記入しましょう。
4.ハローワークでの加入手続き
雇用保険の加入手続きは通常、ハローワークの適用係が窓口となります。新規加入手続きに必要な書類が揃ったら提出しましょう。
従業員の雇入れ日について、ハローワークの窓口ではよく聞かれます。通常は試用期間中であっても雇入日から被保険者となるため、試用期間終了後の日付が取得届の取得日欄に記載されていると、持参したタイムカードなどで確認が行われます。
特に問題がなければ「雇用保険適用事業所設置届事業主控」と「雇用保険被保険者証」などが交付されます。「雇用保険適用事業所設置届事業主控」には、事業所番号というのが印字されていますが、これがその会社に与えられた雇用保険への加入番号となります。「雇用保険適用事業所設置届事業主控」は大切に保管し、押印箇所には押印をしておきましょう。
雇用保険加入の従業員ごと以下の書類が交付されます。
雇用保険被保険者資格取得等確認通知書
雇用保険被保険者証
両方とも切り離し、本人に渡してください
雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)
会社で保管してください
雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届
従業員が退職した場合や、氏名変更の際に使用します
以上で雇用保険の手続きは終了です。
加入後の注意点
保険制度に加入後、会社は従業員の入退社などのたびに、ハローワークに対し様々な手続きをしなければなりません。これは雇用保険制度において、従業員一人ひとりのデータを個々に管理しているためです。
よくあるケースの一例として、退職者が発生する段階になって、雇用保険の取得漏れがわかることがあります。取得届の漏れによる影響は比較的、雇用期間が短い従業員さんでしたら損得は少ないですが、長期在籍者の場合は大問題となります。(これまで、雇用保険の取得漏れは、ハローワークへ相談しても、遡及は過去2年間までしか認められていませんでしたが、平成22年10月1日以降、2年を超えて遡及できるように改正されました。)
雇用保険制度に加入後、会社には従業員の入退社にともなう資格の取得・喪失や、さまざまな給付を適切に受給するための手続き義務が発生することをご認識ください
お問い合わせ
労働保険(雇用保険・労災保険)については、頻繁に法改正が行われ、様々な諸手続きが伴います。
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